『はたして銀行がすすめる住宅ローンは良い商品?』

 銀行に行った時にパンフレットに記載された

“10年固定”という文字を見ると、

この商品を“固定金利”だと

勘違いしてしまうのではないでしょうか。

 

 また、一見のお客さんとして銀行の窓口に伺った場合、

基本的に銀行側がすすめてくれる住宅ローンは、

“3年固定”や“10年固定”という

当初期間固定型の商品なのですが、

まずは、この商品が変動型の住宅ローンであることを

理解しておかなくてはいけません。

 

 

 

 例えばこの商品は名前の中に固定という文字はあるものの、

借入期間中は固定というわけではなく、

固定期間満了後は、

その時点の金利でもう一度同じ商品を選ぶか?

あるいは変動型に切り替えるか?

の選択するようになります。

 

 つまり、いずれにしても、

固定期間終了後に金利を見直すことになるため、

返済額が変わる可能性が高くなるというわけです。

 

 そして、銀行側がすすめてくれたからと

安易にその商品を選択するのではなく、

本来は、将来的な金利上昇リスクをも理解した上で、

選ぶようにすると良い選択になります。

 

 また、この当初期間固定型を選ぶ上で、

理解しておかなければいけないことが、

金利上昇時の返済額アップには、上限(天井)がない

ということです。

 

 変動型の場合、

増額率を25%以内に抑えるというルールがあるのに対し、

この当初期間固定型には、そのルールがありません。

 そして、未払い利息の発生リスクはないものの、

反面、総額率が30%や40%になる可能性があります。

 

 もし、当初固定期間中80,000円だった返済が、

見直し時に40%上がってしまうとしたら、

80,000円×1.4=112,000円まで、

一気に返済額が上がってしまうということになります。

 

 また、この商品の多くが、

当初の期間中だけ

金利の引き下げ幅が大きくなっているのに対し、

逆に、金利見直し後は、

金利の優遇幅が縮小されるようになっています。

 

 例えば、店頭表示金利:2.95%

当初3年間金利引き下げ幅:2.45%

当初3年間貸出金利:0.505%(2.95%―2.45%)

 

↓(3年後)

 

店頭表示金利:2.95%

金利優遇幅:1.85%

4年目からの貸出金利:1.1%(2.95%―1.85%)

といった感じになります。

 

 つまり、市場の金利が全く上がってなかったとしても、

無条件で金利が0.6%上がってしまうというわけになります。

これだけでも、手痛い返済額アップになるのに、

もし市場の金利まで上がってしまったとしたら?

 

 仮に、店頭標準金利が、

2.95%から3.95%となれば、

3年経過後の貸出金利は2.1%になってしまい、

4.95%になってしまったとしたら、

3年経過後の貸出金利は3.1%にもなってしまいます。

 

 では、これを実際の数字に当てはめてみましょう。

借入3000万円、35年元利均等払い、ボーナスなし、

当初3年間の金利0.505%で試算すると。

 

 この場合、当初3年間の毎月の返済額は、

77,875円となるのですが、

3年後は、もし金利が全く上がってなかったとしても、

適用金利が1.1%となるため、

返済額は85,388円となり、

返済額の上昇率が9.6%ということになります。

 

 では、もし金利が1%上がってしまったとしたら?

この場合、3年経過後の適用金利は2.1%となり、

返済額は98,874円となります。

返済額の上昇率は27%です。

 

 続いて、もし金利が2%上がってしまったとしたら?

この場合、3年経過後の適用金利は3.1%となり、

返済額は113,530円となります。

返済額の上昇率は、なんと!?45.8%です。

 

 そんなに金利は上がらないのでは?

多くの方が、そう思われるかもしれません。

 

 しかし、絶対上がらないという保証はありません。

そして、変動型の住宅ローンを選択する場合には、

このようなリスクをも理解した上で

選ぶようにする必要があります。

 

 後から気が付いて、

取り返しがつかない状況にならないためにも、

このようなリスクも理解していただいた上で、

住宅ローン選びをしていただければ幸いです。